感染者が7日間連続で100人を超えておりコロナ禍の影響がふつふつと再燃している東京ですが、地上の人間たちの不安にかかわらず季節は巡っていきますね。どんよりとした梅雨空ともそろそろお別れでいよいよ夏本番を迎えます。本来であれば東京オリンピックに沸いている夏でしたが自宅で過ごすことを余儀なくされています。今年の夏は県や国をまたいでリゾートに行くぞ!ということはほとんど無いかもしれませんが、自分のスタイルがどう見えるのか?1年で最も気になる季節であります。
そしてかくいう自分も先日配信したこうたんとのYouTubeチャンネルを見てふと思ったのです。
「あれ?わしなんか顔丸くない??」
このステイホーム週間でお腹も出てきた気がする。実は体重も少し増えている。そして体重の変動よりも見た目の丸さが確実に目立つ。。。最近はフットサルも出てなくて運動不足だし。しかもワンダーコアなんてしっかりテレビ横の定位位置で一度も倒れることなく座れられることを忘れた座椅子のような佇まい。
こうなったら開き直って「おうちご飯も最強に美味しいし最近丸くなったんだよね。」とか言って茶化し倒してみようか。まぁ一瞬たりとてトンがった覚えのない自分にとっては何のエッジも効いてないフレーズ。これは太ってしまった現実を受け止めるしかない。
逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。
よし!季節はまだ梅雨!夏を迎える前にダイエットについてまとめてみよう!!何よりも自分自身のために!立ち向かうのだ!!
ということで今回はダイエットについて西洋医学的な考えと中医学的な原因を掘り下げてみたいと思います。
まず「ダイエットするぞ!」というと思い浮かぶのが急激な食事制限。筋肉量も多い基礎代謝の大きい方が単なる食べ過ぎで太っているのであればこれで良いかもしれませんが、筋肉量が少なく代謝も低い方がやみくもにカロリー制限をする。これは完全にマズいです。
しぼむだけです。筋肉も落ち垂れていきます。そして食べればまた必ず太ります。そして痩せづらくなります。
ではダイエットするとはどういうことなのでしょう?
体重を落とすこと?
体格指数BMIを落とすこと?
そもそも体重増減のほとんどが水分です。BMIも身長と体重の相関から算出します。そして食事や運動によって1日1kg〜2kgの体重変動はザラなのです。
1日の中で一番体重が減るのが朝。そして食事や運動の影響を一番受けづらいのも朝起きてすぐなのです。ですのでダイエットの体重チェックは毎日朝と寝る前の決まった時間に計ることをお勧めします。
この寝る前から朝にかけての体重減少は400g〜1kg程度が目安です。この幅が大きい人ほど基礎代謝量が多いと言えます。これを増やすことがとても大切。食事を抜くなどして体重だけを落とそうとすると返ってリバウンドのもとになったり筋肉量の減少から逆に基礎代謝量も減っていきます。さらに人によってはホルモンバランスの乱れから生理不順やPMS(生理前症候群)などの原因にもなります。
本当の意味でのダイエットとは単に「痩せる」ことではなく「体を引き締める」ことが目標になるのではないでしょうか?
体を引き締めるために必要なこと。食事と運動のバランスをしっかりとる。筋肉量を保持する。内臓の働きを整える。これに尽きると思います。
ただしこのように簡単に挙げてみてもやはり個人差があります。
ここで体質を左右する肥満遺伝子に注目してみましょう。肥満遺伝子とはエネルギー代謝に関連する遺伝子でそれぞれの特徴は以下の通りです。
①リンゴ型→β3ーアドレナリン受容体に変異のあるタイプ
中性脂肪の分解が抑制されて基礎代謝量が低くなる。日本人の約30%が当てはまり男性に多い。糖質の摂りすぎで太るタイプ。
②洋ナシ型→脱共役たんぱく質1に変異のあるタイプ
褐色脂肪細胞の働きが低下して基礎代謝量が低くなる。日本人の約35%が当てはまり女性に多い。揚げ物やバターなどを使用した洋菓子などで下半身が太りやすくなります。
③バナナ型→β2ーアドレナリン受容体に変異のあるタイプ
厳密にいうと肥満遺伝子ではなく「逆」肥満遺伝子。基礎代謝量が多く太りにくい。日本人の約24%が当てはまる。食べても太れないといううらやましい体型と思われますが、実は胃腸が弱くあまりこってりしたものが食べられないという傾向にあります。また筋肉がつきづらいので年齢とともにたるみが出てきたりして悩まれる方も多くいらっしゃいます。
いかがでしょうか?自分の遺伝子がどのタイプなのか?気になる方は簡単なキットで調べることができるようです。インターネットからも受け付けているところが多いのでそちらで調べてみても良いかもしれません。
ではこの体質を知った上でどのように対処するか?ここでまず食べたものが体内に取り込まれてエネルギーに変換されていくのか?「代謝」について知ることが大切になります。
そう。「代謝をあげる」っていったいどういうことなのでしょう?
そもそも代謝とは「生命の維持のために体外から取り入れた物質を素材として行う一連の合成や化学反応」のことです。この代謝は物質を分解してエネルギーを得る「異化」と得たエネルギーによって器官や組織を組み立てる「同化」に分けられます。ダイエットにおいて「代謝を上げる」というのは溜め込んだ物質(脂肪)を燃やす=エネルギーを消費させることにあたります。
この一連の代謝の流れに沿って生活の中で対策を講じる必要があります。
①食事の内容の見直し
脂肪を摂ると脂肪がつきやすくなる。というのは想像しやすいでしょう。しかし実は摂りすぎた糖もダイエットにおいてこの流れがとても重要になります。
甘いものやご飯・麺類・パンなどの炭水化物はグルコースに分解され血糖として循環します。この血糖が解糖系→クエン酸回路→電子伝達系といった糖代謝を経てATPというエネルギーに変換されていきます。この代謝がエネルギーを産生することから「燃焼」だったり「燃える」という表現を使うようです。
ここで燃やしきれない血糖はアセチルCoAから脂肪酸を経て中性脂肪へと代謝されて蓄積します。人間が飢餓状態に陥った際にこの中性脂肪から糖を新生して飢えをしのぐように設計されているのです。
ここで燃えるエネルギー以上に原料となる糖を摂取しないことが大切になりますが実はそれと同じくらい大切なのがミネラルをしっかり摂取することなのです。
食事のバランスは糖質:タンパク質:緑黄色野菜・根菜・海藻類=1:1:3が基本。糖質の3倍の野菜類を摂取することが十分なミネラルの補給になります。
野菜というとカロリーも低い上に食べ応えのある「サラダ」をよく召し上がる方がけっこういらっしゃいますが、サラダなどの生野菜はほとんどが水分です。生野菜の摂り過ぎで冷えが悪化することもよくあります。野菜は生ではなく温野菜にして召し上がってください。吸収できる栄養素も15倍以上となります。
②運動の内容の見直し
運動は有酸素と無酸素を組み合わせて。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は脂肪を燃焼させるのにとても有効ですが、ダラダラと歩くだけではあまり効果が出ません。ここで心拍数をチェックしてみてください。
目標心拍数=(220ー年齢)×0.6/分
30歳の方なら(220−30)×0.6=114/分となります。この心拍数で運動すると脂肪が燃焼しているというわけです。また15〜20分くらいかけて運動するとしっかり効果が出てきますので時間にも注意しましょう。
また筋肉量が少ないと基礎代謝量が少なくなり脂肪燃焼の効率も低くなります。スクワットなどの負荷をかける無酸素運動によって筋肉をつけましょう。この無酸素運動は朝〜日中に行うと効果的です。
③新陳代謝の見直し
新陳代謝とは以前のnoteでも触れたように体の中の細胞の生まれ変わりのこと。古いものを捨てて新しいものを生み出す。中医学的な考えでいくと気血水の巡りが大切になってきます。筋肉量だけでなく五臓が元気に滞りなく働くことでこの新陳代謝がスムーズに行われていきます。
ではここで中医学的な肥満の原因を整理してみましょう。
①痰湿によるもの
痰湿とは脂っこいもの・甘いものの摂りすぎ・酒の飲み過ぎにより生じるもの。長期にわたって体内に停滞して筋肉や皮下に蓄積すると肥満となります。
<付随する症状>痰が多い・胸腹部の膨満感・胃のムカムカ・食欲亢進・身体の重だるさ・舌に白い苔が厚く付着するなど。
「肥貴なる人はすなわち高粱(食べ物)の疾なり。多痰多湿。」と古代の文献にも残されています。貴族のような食生活を送っている方は少し食事を質素にしてみてはいかがでしょうか?
②脾気の虚弱によるもの
体質的に脾虚の方や病気や手術などにより脾胃の気が不足すると脾の運化機能が低下して水湿が停滞しやすくなります。「穀気、元気に勝ればその人肥満して寿しからず。」の言葉も残されているように、脾胃の働きよりも飲食物が多く体内に入ると蓄積し肥満するということです。
<付随する症状>疲れやすさ・食欲不振・息切れ・汗が出やすい・風邪をひきやすい・日中の眠気・身体が重い・舌に白い苔が薄く付着するなど。
③瘀血によるもの
現代病の1つである瘀血。冷えや血虚で現れることもありますが、中性脂肪やコレステロール値の高い脂質代謝異常症→いわゆるドロドロ血液が肥満につながることは想像に難くありません。肥満だけでなく高血圧症や狭心症・脳卒中などのリスクもあるため放って置かずにしっかり対処しておくことが大切です。
<付随する症状>顔色が暗い・月経不順・無月経・舌に紫色の斑点がある・舌の裏に青筋が立つなど。
④肝気鬱結によるもの
いわゆるストレスのことです。精神的な負担により自律神経やホルモンバランスが不安定になると気血水の巡りが著しく悪化します。肝気鬱結が長引き血流が停滞することで③の瘀血も生じるため余計に厄介な状態に。また長引いた肝気鬱結により生じた熱が脾胃に飛び火して「胃熱」が旺盛になり食欲が異常に増してきます。食べても食べても満足しない。ストレス性過食症がこれにあたります。
<付随する症状>イライラする・胸脇に張ったような痛み・不眠・過食気味・月経不順・便秘など。
⑤肝胆湿熱によるもの
飲酒や飲食のバランスが乱れることで痰湿が生じます。これが長期にわたって停滞すると熱を帯びて「湿熱」の状態に。この湿熱は脾胃に停滞しやすいですが肝胆にも停滞します。これにより脂肪肝などの症状が現れます。
<付随する症状>口の苦味・口の粘り・顔が赤い・目の充血・軟便(何度拭いても便が拭き取りづらい)・舌に黄色い苔が付着するなど。
⑥腎虚によるもの
腎は水を主ります。この腎の精気が不足すると水液を代謝する機能が低下することで全身にむくみが出やすくなり水太りの状態に。生まれつき腎が弱い方、薬によるもの、高齢者の肥満はこの腎の働きを助けることが必要になってきます。
<付随する症状>腰痛・下半身の重だるさ・手足の冷え・夜間の頻尿・耳鳴り・膀胱炎・むくみなど。
いかがでしょうか?肥満には様々な原因が潜んでいるのです。市販されている漢方薬の中でも内臓脂肪をとる!などダイエットに直結させたものも多く出ています。しかし漢方薬も体質が合わないと余計に体調が悪くなり逆効果になるパターンもよく見られます。くれぐれも漢方薬のパッケージ買いにはご注意ください。
適切な処方を探すことと同時に西洋医学・中医学の両面から自分自身に潜む原因を知っておき生活の中での対処法を見つけておくことがとても大切です。ぜひ1人で判断せずに専門家とのご相談をオススメします。