ましも先生の健康note

心と体はつながっている!五臓とメンタルの関係。

いやぁ〜。ジメッとする!マスクで口の周りが熱い!わずらわしい!!いつまで続くのこのコロナ禍!!ということでイラついてキーボードの音も盛大に鳴り響かせながら書き始めたこのnote。どうも!世田谷区八幡山のかえで薬局・ましもやすおです。←ここまで打つのに5回もタイプミスしています。

それもそのはずでマスクで呼吸が塞がれるので軽い酸欠状態が持続的になっており日常的にもイライラや集中力の低下が出やすくなるのです。しかもこの蒸し暑さ

梅雨の低気圧と湿気でメンタルも不安定になります。もうこれは当然なのです。

実際に店頭でも今まで元気ハツラツ!で過ごしていた女性がメンタルの疲れで受診。心の薬が処方される方もいらっしゃいます。特に独居のお年寄りに多く、外出もできず独りでテレビを見たまま。しかも不安を煽る報道しか流れてこないというこれでは心のバランスも崩れて当然。というものです。

実際に大阪府の「こころの電話相談」に寄せられる相談件数は2月には6件。コロナが蔓延しだした3月には18件

自粛期間に突入した4月に130件、5月に212件と激増してきています。

さてこのコロナの影響をはじめ心のバランスが保てなくなることで様々な不調を訴える方は多くいらっしゃいます。不安・不眠・気持ちの落ち込み・やる気が出ないなどの心の症状はもちろん食欲不振・下痢軟便・便秘・血圧上昇・動悸・痛みなど体にも影響が出てきます。

病院でも外傷や器質的な異常などの所見が見られない症状はストレスが原因自律神経失調症という診断がつけられることからもこの心と体が連動していることがうかがえるのではないでしょうか。

ということで今回のnoteは心と体の連動がどうなされているのか?を深掘りしていきたいと思います。

では早速ですが西洋医学的な視点から考えみましょう。

西洋医学的にはメンタルの好不調は3つの神経伝達物質によって左右される考えられています。

トップ画像に書いてある通りこの3つは独立したものではなくそれぞれ関わり合いながら様々な感情につながっていきます。

①セロトニン

頑張るための「交感神経」とリラックスするための「副交感神経」のバランスを整える役割を持ちます。足りなくなると感情的に不安定になり、充分に分泌されると心の平穏が保たれるので「幸せホルモン」とも言われます。その90%が小腸の粘膜に。8%が血小板に。そして脳内の神経にはわずか2%だけ存在します。規則正しい生活を送ることがセロトニンの分泌させるための秘訣です。朝日を浴びる。食事もバランスよく。特に原料となるトリプトファンを摂取することが大切です。

②ノルアドレナリン

交感神経の伝達物質で意欲や活動性・積極性・思考力・集中力を保つ役割を持ちます。分泌量が低下するとやる気が起きない。何事にも興味が持てない。無感動などのうつ状態になりやすく、逆に分泌しすぎると攻撃的になったりイライラや不安感など。さらに交感神経を興奮させるので不眠や動悸・血圧上昇などの症状が出やすくなります。もともと交感神経は外敵から自分の命を守る攻撃的なスイッチを入れるもの。行き過ぎた時はリラックスして副交感神経を優位にするなどうまくバランスを取るようにしましょう。

③ドーパミン

前出のノルアドレナリンに近いもので、快楽・意欲・性欲・探求心などをつかさどります。頑張った自分へのご褒美として分泌される報酬系の伝達物質で脳内麻薬とまで呼ばれることもあります。食欲や気力が出ない場合は新しい刺激やはじめての感動などで分泌量が増えると言われています。また病院ではスルピリドなどのドーパミンの機能を高める薬も選ばれることがあります。また過剰な分泌は快楽に溺れる傾向になるためギャンブル・買い物・アルコール・薬物などの依存症の原因にもなると言われています。

この3つの神経伝達物質がバランスよく分泌されている状態が心身ともに健康な状態とされており、心療系で受診をされた方もこの3つに働きかけるものが多く処方されています。うちでよく処方されているのお薬は以下のとおりです。

①選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)パキシル・ルボックス・ジェイゾロフトなど。

神経伝達においてセロトニンの再取り込みを阻害することでセロトニン濃度を上げる作用を持ちます。うつ病だけでなく強迫症・社交不安症・パニック症・過食症などにも効果があると言われています。

②セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)トレドミン・サインバルタなど。

セロトニンだけでなくノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで濃度を上昇。①のSSRIの効果に加えて意欲の向上を期待して処方されることが多いです。

③ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)リフレックス・レメロンなど。

神経伝達においてセロトニンとノルアドレナリンの放出を促進することで効果を発揮します。①のSSRIや②SNRIの副作用で見られる胃腸症状が出にくくなっている利点もあります。

このように神経伝達物質を調整することが西洋医学においての治療でよく見られるものです。

では一方で中医学的な視点ではどうでしょうか?先日のTwitterでも書かせていただいたのですが、中医学の根底にある五行説を紐解くと五臓にはそれぞれが主る(つかさどる)感情があると言われています。

肝→怒り。

「怒ればすなわち気上る」と言ってイライラや怒りの感情は肝の持つ疏泄作用の失調を引き起こします。気が逆上すると頭痛やめまい、目が充血したりします。また気の巡りが悪くなり胸脇部の痞えなども出ることがあります。

心→喜び。

喜びとはとても良い感情で気を巡らせることができますが、「喜べばすなわち気緩む」と言って生理的な限度を超えた喜びは心気を弛緩させて動悸や不眠などの症状につながります。さらに失調が進行して心の神明を主る働きが失われると精神的な異常につながると言われています。

脾→思い(悩み)。

「思えばすなわち気結す」と言って、思い悩みが過ぎると気を停滞させて脾の運化作用=胃腸の消化吸収機能が乱れます。その結果、腹部の張り、物がのどを通らない、食欲不振、軟便などの症状につながります。

肺→悲しみ。

「悲しめばすなわち気消す」と言って、強い悲しみは肺の気を消耗するため声がかすれる、声が出ない、息切れする、しゃべりたくないなどの症状が現れます。先日自分の大好きな志村けんさんが亡くなった時。朝の情報番組の生放送で近藤春菜さんが見せた表情もこの状態でした。

腎→恐れ。

「恐れればすなわち気下る」と言って過度な恐れの感情は腎気を消耗させるの失禁や腰が抜ける、流産などの原因になります。さらに腎精まで消耗すると記憶力低下・骨がもろくなる・髪が抜ける・早漏・閉経が早まるなどの症状にもつながっていきます。

このようにそれぞれの感情が五臓に影響すると言われていますが、神経伝達物質と同様に感情は単独であらわれることは少なく実際には絡み合いながら症状に現れることが多いものです。そしてそれは「心」「肝」「脾」の影響によるものがほとんどとなります。

①「心」は神明を主る=精神的な働きを統括すると考えられています。そしてこの働きが乱れると起こる症状は以下のとおりです。

動悸・不眠・夢が多い・息切れ・胸苦しい・不安感・驚きやすい・悲しんでよく泣く・塞ぎ込むなどの症状に。

重症化すると精神的な疾患につながるとされており、このような症状が出た場合は「心」のケアをすることがまず大切です。また女性に多く見られるのが心血虚という状態。毎月の生理やダイエットなどの食事制限などで「血」が不足することで起こります。

②「肝」は疏泄を主る=気を巡らせて精神状態を安定すると考えられています。この働きが乱れると起こる症状は以下のとおりです。

イライラする・ゆううつになる・他人の言動が気になる・のどにつかえた感じがある・ものがはっきり見えない・頭痛・肩こり・胸脇部の痞えや張り・生理不順など。

肝は血を蔵する働きも持っています。この肝血が失われるとめまいや筋肉のけいれんなども現れやすくなります。睡眠不足やPC・スマホなどで目を酷使することで肝血が失われます。充分気をつけましょう。

③「脾」は運化を主る=飲食物の消化と吸収を管理します。この運化作用が乱れると現れる症状は以下のとおりです。

食欲がない・腹部が痞える・ムカムカする・吐き気が出る・腹痛・不正出血・下痢軟便あるいは便秘または交互に繰り返す・手足が重だるい・やる気が出ない。など。

暴飲暴食や食事時間が不規則になったりするとこの運化作用が乱れるので注意が必要です。さらにダイエットなどで気血が不足すると脾の運化作用が低下します。疲れやすさやだるさ・めまい・むくみなどが現れる上にさらにひどくなると全く食欲がない・目がかすれる・抜け毛・耳鳴り・月経停止などの症状にも。食事は規則正しくしっかりと。

いかがでしょうか?西洋医学的にも中医学的にも心と体がつながっていることがよく分かりましたでしょうか?喜怒哀楽は誰にでもあるものですがそれが行き過ぎると体の不調につながります。また体の不調があると心にも影響が出るものです。お互いが注意信号を出し合いながら倒れないようにバランスを取り合っているのが心と体の関係の本質です。

このコロナ禍はゴールの見えないマラソンのようなものです。生活のあり方も激変しましたが、これからは中から発する注意信号に耳を傾けて心と体を癒してあげることがこのマラソンを無事にゴールするための秘訣になるのではないでしょうか?

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