ましも先生の健康note

老化の真犯人。細胞の焦げ付き=糖化とは何ぞや?

先日やっと東京アラートが解除になり飲食店の営業時間も以前に戻ろうとしています。テレビを見てもやっとか。という思いとまだ大丈夫なの?という不安と入り混じっています。

実はうちもこのコロナ禍でまったく行けてなかった「スシロー」に久しぶりに行ってみました。いつも行く店舗は待ち時間が長くかなり混んでいる様子だったので一応敬遠。車で足を伸ばして待ち時間のない=空いていそうな店舗へ。アプリがあると本当に便利ですよね。このスシローはうちの息子がめちゃくちゃ大好きでコロナ騒動が始まる前から本当によく行ってました。もちろん我々大人も大好きで「おいしいお寿司をお腹いっぱい」という企業理念に沿っておなかいっぱい食べるわけです。しかもこのスシローが厄介なのがスイーツ。締めにブラックコーヒーと合わせると本当においしいんです。もうこのまま通っていたら確実にお腹まわりのお肉が増えちゃいますね。先日の締めはカタラーナ。スペインカタルーニャ地方発祥のスイーツでクリームブリュレの原型とも言われています。この特徴は表面に砂糖をふってバーナーで炙ることでできる「焦がしカラメル」。冷たいクリーム部分とパリッパリのカラメル部分のマリアージュを堪能できるのです。もう最高。

さてこの砂糖を焦がしたカラメル部分はとても美味しいですが。実は身体の中でも糖が焦げ付くことがあるってご存知でしょうか?

前回のnoteでも全身にはびこる「ゾンビ細胞=鬼」を滅するために血液の巡りを良くして隅々まで「鬼殺隊=マクロファージ」を行き渡らせるための養生をご紹介しました。その中で糖分の摂りすぎによる血管の糖化について触れました。

今回はこの身体の細胞の焦げ付き「糖化」について深く掘り下げてみます。

糖化とは身体の中のタンパク質が余分な糖が結びついてそのタンパク質が変性・劣化する反応のことです。そしてこの糖化によって生成されるのが糖化最終生成物(AGEs)

まさに「余分な糖の成れの果て」です。

先ほどのカタラーナの焦げたカラメルの色と同じように人間の骨も糖化すると茶色く変色します。まさに焦げ付くのです。

この糖化最終生成物AGEsは身体をすみずみまで「焦げ付かせ」老化をはじめ色々な疾患の原因につながります。

実際にAGEsによって引き起こされるとされる疾患は以下の通りです。

皮膚の老化・動脈硬化・骨粗しょう症・糖尿病合併症(網膜症・神経障害・腎障害)・アルツハイマー型認知症・白内障・加齢黄斑変性症など。

深刻な疾患ばかりですね。そしてこの糖化は細い血管=毛細血管へのダメージが深刻になります。毛細血管の内皮細胞がAGEsを取り込むと活性酸素を大量に発生させます。この活性酸素が毛細血管を守る壁細胞をダイレクトに傷つけるのです。さらに血管を守るミネラルが大量に消費されるのも大問題。そのメカニズムは以下のとおりです。

血糖が急上昇する→糖代謝が急にフル稼働状態に陥る→代謝に関わるミネラルを一気に消費する。

身体の中で糖(グルコース)からエネルギーを作り出す工場がミトコンドリアです。その工場で働く従業員がミネラルたちなのです。

普段は穏やかに稼働してペース良く処理している小さな工場にいきなり大きな仕事が舞い込んできた!しかも納期が短い!そんな状況を想像してみてください。

「男はつらいよ」に出てくるタコ社長の小さな工場にApple本社の人間が外車でいきなり乗り付けて「MacBook Pro1万台分の部品を今日中に作れ!」と要求するようなものですね。

はい。おおげさです。

この急なタイミングでものすごい量の仕事を振られた特に一番の被害者になるのがカルシウムです。寅さんの義弟の博を勝手にイメージします。前田吟好きだなぁ。カルシウムはカドヘリンというタンパク質を助ける役割も持っており不足するとこのカドヘリンの働きも著しく低下します。このカドヘリンはうっすい構造の毛細血管が破れないようにする接着剤の役割で不足すると血管だけでなく皮膚や粘膜の劣化にも直結します。糖尿病の方がなかなか皮膚疾患が治らないのもこのことが大きく関わっているからではないでしょうか?

この糖化の主な原因は糖尿病などによる慢性的な高血糖状態はもちろんですが、血糖の急激な上昇=いわゆる「血糖値スパイク」も大きな原因になります。

通常食事による血糖比較的ゆっくりと1時間ほどかけて上昇していきますが、コーラやジュースなどの清涼飲料水。無糖じゃない缶コーヒー。スポーツドリンクや栄養ドリンクなどで摂取した糖はほんの数秒で吸収され血糖上昇に入ります。糖代謝の産物であるピルビン酸も急に増加するため血液が酸性に偏る「アシドーシス」の状態となります。これを中和するのもカルシウムをはじめとしたミネラルたちとなるのです。

それぞれの飲み物の糖分を角砂糖に換算したものが以下の通りです。

コーラ500ml→角砂糖14.5個分

サイダー500ml→角砂糖13個分

スポーツドリンク500ml→角砂糖6.5個分

缶コーヒー190ml→角砂糖4個分

これらの飲み物はつめたーくして飲むのが定番です。味覚は常温が一番感じやすくなるためです。これらは常温では甘すぎて飲めないですよね。

店頭での相談に来られる方の中でも缶コーヒーを愛飲されている方が時々いらっしゃいます。缶コーヒーも500ml換算すると10.5個分にもなります。実際に缶コーヒーをやめていただいたらアレルギー性疾患や炎症性疾患の症状が改善したという例はよくあります。

ではこの体内に吸収された糖はどのような経路をたどっていくのでしょうか?

糖とは身体の中に必要不可欠なエネルギーの原料となるものです。ゴルフ漫画の金字塔「あした天気になあれ」でのワンシーン。憧れのセントアンドリュースでジャックニコラウスと対決する主人公の向太陽。途中腹ごしらえで大きな握り飯を頬張る彼を興味津々に見ている地元スコットランドのギャラリーの人たちに「これはライスボール。エネルギーの塊なんです!」と説明している有名なセリフにも炭水化物=糖質がエネルギーに転換されることが現れています。

食事から消化吸収された糖=主にグルコースは小腸上皮細胞から吸収され血糖値が上昇します。この血糖が有名なインスリンの働きによって肝臓や筋肉や脂肪の細胞に運ばれていきます。ここにはトランスポーターという輸送屋さんが介しておりこの働きに必要なのが亜鉛などのミネラルなのです。

グルコースは3つの代謝経路→①細胞質での解糖系・②細胞ミトコンドリア内のクエン酸回路・③ミトコンドリア内膜の電子伝達系をたどっていきATPというエネルギー通貨を産生します。このATPがすべての生命活動に必要なエネルギーでこの生産が止まることはすなわち「死」を意味します。

やばこわっ!ATP!ATP!ずっと産まれてATP!

そしてここで使わないグルコースはいざという時に備えてグリコーゲンに変換して貯蔵する働きを持っています。特に肝臓と脂肪細胞はこの能力が高くなります。

いざ食事が摂れない!という状態になってもグリコーゲンを分解してグルコースを生み出したり、特に肝臓では筋肉の原料であるアミノ酸からグルコースを生み出すこともできるのです。これを糖新生と呼びます。ライオンなどの肉食動物が炭水化物を食べないでもエネルギーを保持できているのもこの「糖新生」によるものなのです。

生命を危機にさらす飢餓を回避するために人間にはこんなにたくさんの複雑な機能が備わっているのです。大昔は自分が食べるものも命がけで取ってきたり、保存技術も無いため悪天候が続けば農作物も手に入らなくなる。飢餓との戦いの時代だったのでしょう。一方で血糖を利用して貯蔵することで飢餓を回避するのがインスリン。血糖を上げる作用のあるホルモンがアドレナリン・コルチゾール・グルカゴン・成長ホルモン・甲状腺ホルモンの5種類も備わっているのに対してグルコースを利用・貯蔵して血糖値を下げるホルモンはインスリンしかないというのは人間が飢餓を恐れて設計されていることの現れですね。

皮肉にも今の日本は飽食の時代。飢餓によって生命を危機にさらすよりも食べすぎによる弊害で身体に深刻なダメージが蓄積していくようになりました。

最後に中医学的な側面から見ると五味の中で甘味の摂りすぎは「脾」に負担をかけると言われています。脾は統血作用と言って血液が漏れ出るのを防ぐ働きもあり「ぶつけた覚えもないのにあざが出来る」というのも脾の弱りのサインです。さらに飲食物から肌肉を作り出す働きもあるため脾が弱ると筋肉が弱りシワやたるみの原因にも。まさに毛細血管を丈夫にする。肌の若々しさを保つ。といったことに繋がりますね。

これらのことからまとめると。やはり昔の人が言われていた「食事はよく噛んで腹八分目」この食べ方を守っていくことが身体の焦げ付きを予防していつまでも若さを保つために必要なのではないでしょうか?お腹いっぱいお寿司を食べてスイーツまで食べてしまう自分に一番言い聞かせます。

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