ましも先生の健康note

「全集中・深呼吸」で身体にはびこる鬼を滅す。

先日何気なくテレビをみていたら「ゾンビ細胞は免疫力を高めて殺せ!」という衝撃的なフレーズが。ゾンビ細胞って何それ!?もうインパクトがすごすぎますね。ゴースト血管も初めて聞いたときにはまあまあインパクトがありましたがゾンビ細胞はその上を行きますね。

このゴースト血管とは血液の巡らなくなった血管のこと。人の住まなくなった街をゴーストタウンと呼ぶことに擬えています。

ではこのゾンビ細胞って何なのでしょうか?

これは2017年に科学誌ネイチャーに掲載された論文で発表された「若さを保ちたいならゾンビを殺せ」というタイトルがもとになっているもので。古くなった細胞がそのまま放置されている状態のこと。

人間の身体は60兆個のもの細胞から成り立っており、そのうちの約1%が毎日入れ替わっています。いわゆる新陳代謝です。この新陳代謝の新とは「新しい」という意味。陳とは「古い」という意味です。要は古い細胞と新しい細胞の入れ替わりのことで、これがスムーズに行われないと古い細胞がどんどん蓄積していくというわけです。

ではここで新陳代謝をもう少し深掘りして考えてみましょう。

これを考える時に「なぜ人間の細胞は古くなるのか?」という問題にぶち当たります。この問題のキーワードが「酸化」なのです。人間の細胞が酸素を取り入れて生命活動していく上で発生するのが活性酸素。この活性酸素によって細胞が「酸化=老化」していくのです。そしてこの活性酸素はストレスや過度な運動などによっても産生されます。何もしていなくても人間の体は酸化=老化していくのに頑張りすぎてしまう方は余計に老け込むということが言えるのかもしれません。

一方この老化した細胞はどのようにして新しく入れ替わるのでしょう?ここに関わってくるのが免疫力なのです。老化した細胞は免疫細胞であるマクロファージによって貪食されます。このマクロファージは古い細胞以外にも細菌やウイルスそしてガン細胞まで捕らえてくれる言わば監視員のようなもの。老化細胞いわゆるゾンビ細胞が放置されてしまっているとまわりの細胞もゾンビ化してしまうということも研究で明らかになっていますが、それ以外にも感染症やガンなどの大きな病気の予防にも大いに役立っているのです。

この新陳代謝を促進して身体の細胞の入れ替わりをスムーズに行うために必要なのが「良好な血の巡り」。以前のnoteに書きましたがこの血の巡りが悪いと免疫細胞マクロファージが隅々まで行き渡らないという状態に陥ります。

マクロファージの来ないエリアは言わば無法地帯。古いゾンビ細胞が放置されしまい、周りの細胞も同じようにゾンビ化してもそれを貪食してくれません。結果としてゾンビ細胞が周りの細胞もゾンビ化させているように見えるのです。

ゾンビとは「生ける屍(しかばね)」「リビングデッド」のこと。先日最終回を迎えてロス状態に陥っている人も多い「鬼滅の刃」で言うとこのゾンビとは鬼舞辻無惨に操られた「鬼」のようなもの。その数の多さとしぶとさで主人公である炭治郎は幾度も命を危機にさらします。そしてその鬼たちも元々は心優しい人間だったのです。鬼殺隊水柱・冨岡義勇との出会いのシーンを思い出してみてください。鬼の血を浴びた妹の禰豆子が鬼になりかけて襲いかかるところを義勇が間一髪で助けます。あの場面では禰豆子の兄を思う気持ちが鬼としての本能を抑え込み禰豆子をただの鬼としか見ていなかった義勇の心を動かしたのですが。

ちょっと話が逸れすぎましたが。この鬼滅の刃で例えると炭治郎が正常な細胞。そして襲いかかろうとする禰豆子や鬼がゾンビ細胞。義勇を始めとした鬼殺隊がマクロファージとなります。

つまり何が言いたいかというと。

身体の中を鬼殺隊(マクロファージ)が隅々まで駆け巡らないと身体の中は鬼(ゾンビ細胞)だらけになってしまうということです。

ではこの鬼殺隊(マクロファージ)が隅々まで駆け巡るのに必要なものは何なのか?これは大きく4つに分けられます。

①血液が新鮮であること。

酸素をたっぷりと含んだ血液は赤血球をしなやかに変形させます。直径約8μmの赤血球は直径約3〜7μmと自分自身より細い毛細血管を通っていかないと隅々の細胞までたどり着きません。この新鮮な血液が行き渡る事ですべての細胞がイキイキと若返ります。

②血管がしなやかであること。

甘いものなどの糖分。ごはん・麺類・パンなどの糖質は生命活動を行うために欠かせません。しかしこの糖分が過剰になることで身体の細胞が糖化することが今問題になっています。砂糖漬けの血管はボロボロです。この血管を守るために必要なのが前回のnoteでも触れたミネラル群なのです。特にカルシウムはカドヘリンという毛細血管を丈夫に保つタンパク質の働きを助けます。糖分の摂りすぎはその代謝にカルシウムを消費してしまい結果として不足し毛細血管にダメージを与えてしまうのです。

③活性酸素を除去すること。

前半部でも書きましたが活性酸素による酸化が老化につながります。活性酸素は人間の細胞内のミトコンドリアでエネルギーを生み出す時に排出される排気ガスのようなもの。ただ生きているだけでも発生し続けます。しかもタバコや過度のストレスでも活性酸素が発生するということもよく知られています。血管自体も活性酸素によりサビついていきます。コレステロール値が高くて悩んでおられる方も悪玉コレステロールだけでは血管は傷みません。活性酸素による悪玉コレステロールの酸化が動脈硬化につながるのです。活性酸素を除去することは身体の隅々を若々しく健やかに保つ秘訣なのです。

④適度にリラックスすること。

現代ではこれが一番大切かもしれません。過去のnoteに何度も書かせていただいたストレスの弊害。この場面では血管がキツキツに収縮してしまうことが問題になります。「がんばれ!がんばれ!炭治郎!!」身体にムチを打って闘う彼はガッツリと交感神経に偏っています。「全集中・水の呼吸!」で大技を繰り出す時には息をがっつり詰めているでしょう。しかしこれでは現代の鬼を滅することはできません。よくお医者さんで血圧を測ると必ず高く出る「白衣性高血圧」。絶対に良い結果を出すんだと頑張ったり緊張することで血管が縮こまるために起こります。「頑張ろう」という気持ち・イライラのタネや悩みは時々頭から追い出して。ゆっくりリラックスすることに全集中しましょう。そしてしっかりと深呼吸することで血管がゆるやかに拡張して血液が行き渡るようになります。この「全集中・深呼吸」が実は鬼を滅するための一番の技なのかもしれません。ですよね。鱗滝さん。

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