ましも先生の健康note

その「気のせい」は何のせい?

ステイホーム週間と名付けられた今年の連休も終わりました。それぞれのご家庭が自宅にこもって片付けをしてみたり。おうちご飯を楽しんでみたり。思いっきりゲームしてみたり。今までと違った過ごし方も発見できたのではないでしょうか?

ちなみに自分はこの絶好の機会を「ゴールデンまなびウィーク」にしてみました。まずはずっとトライしてみたかったお絵かきアプリでイラストを描く。初めての試みでしたがYouTubeで使い方も初心者向けに説明してくださる女性もいらっしゃりかなりスムーズに使えるようになりました。もうまさに女神!!おかげさまでTwitterでも「いらすとや」のみだった自分の画像がお世辞にもうまいとは言えないですが自分の描きたいものを載せられるようになり、朝から独りで黙々と描くようになりました。かっこいいから。という理由だけで買われたApple Pencil第1世代もiPad miniの脇にくっついてるだけの毎日からようやく本来の仕事が出来るようになり喜んでいるようです。

さてそんな連休も明けてからなんだか憂うつな気持ち。やる気が出ない。マスクもしてるし息苦しい。急に頭が重くなる。ふわっとめまいがする。汗がだらだら出る。動悸がする。急にキーンと耳鳴り。こんな症状が出てきている方も多いのではないでしょうか?

目に見えないこの症状はなぜ起こるのでしょうか?病院で相談してもこう言われることが多いのでは。「気のせいかもしれませんね。」

「気のせいです」は「歳のせいです」に並ぶ「お医者さんに言われて困る言葉」の2トップです。病院では目に見える異常がない限りは自律神経失調症や老化などの判断をされることがほとんどです。検査数値も器質的にも異常がないという裏返しとも言えます。ひとまず安心なのですがその対処はあまり積極的にされないため返ってもやもやしてしまうのが現状です。

西洋医学からみて「気のせい」があまりにもつらいようであれば心療内科の受診を勧められて場合によっては自律神経に作用する薬を処方されることもあります。

西洋医学において気持ちに働きかける自律神経の伝達物質は以下の通りです。

セロトニン→幸福感・不安の軽減・感情や食欲などのコントロールをします。不足すると憂うつになったり不安になったり。うつ病の発症に関わりの深い脳内ホルモン。

*ノルアドレナリン→意欲・活動性・積極性・思考・集中力をつかさどります。分泌が低下すると意欲が湧かない。やる気が出ない。逆に分泌が過剰になるとイライラしたり攻撃的になったり。不眠や血圧上昇・動悸などが出現します。

*ドーパミン→快楽・意欲・食欲・性欲・好奇心などをつかさどっており、ノルアドレナリンに近い位置づけになります。分泌が低下すると食欲低下や意欲の低下に。過剰になると幻覚や妄想。快楽を欲しすぎるためギャンブルや買い物。アルコールや薬物への依存症の原因につながります。

この3つの神経伝達物質のバランスを取ることが心療内科における治療の1つになります。多くは薬の内服となりますが副作用や薬剤耐性なども考えると抵抗のある方も多くいらっしゃいます。

では一方でこの「気」とは何か?中医学的な面で深く掘り下げてみましょう。

【中医学から見た気の作用】

①推動作用

ものを動かす作用。歩いたり走ったり言葉を話したりするのも気の作用によります。気が足りない状態ではちょっと動いただけで疲れたり。声が小さく話す言葉が少なくなったりします。

さらに血液などの体液の流れや便や汗などの老廃物をスムーズに排出するのも気の大切な働きの1つです。

②温煦(おんく)作用

気は体を温めて体温を維持する働きがあります。気が足りなくなると手足の冷えや寒気が出たりします。尿が薄くて多いというのも気が不足して温煦作用が低下したサインです。

③防衛作用

気は体表を保護して外邪の侵入を防ぐ働きがあります。さらに外邪が侵入した場合にはこれを追い出そうとする力も発揮します。風邪をひきやすかったり、すぐに熱が出る。逆にすぐに寒気がする。という方は気の防衛作用が低下していることが考えられます。

④固摂(こせつ)作用

気は過剰な排泄や出血を抑える働きがあります。ぶつけた記憶がないのに皮下出血のあざが出る。汗がだらだら出る。生理の出血がだらだら長引く。のは気の固摂作用の低下のサインです。

さらに内臓の位置を保つという働きもあります。胃下垂や子宮下垂。脱肛など臓器が定位置から落ちてしまうという状態も気の不足が考えられます。

⑤気化作用

気には物質を変化させる働きがあります。口から入った食べ物や飲み物を血液や体液などを作り出し、不要な水液を汗や尿に変化させます。むくみや汗が出ない、尿が出ないなどの失調も気の働きの低下によるものです。

⑥営養作用

気は栄養分を大量に含んで血を作り出し全身の細胞に届ける働きがあります。痩せたり疲れやすくなったりするのも気の営養作用の低下によるものです。

いかがでしょうか?中医学的な面から見た「気」はこれだけ多くの働きをしており、この「気のせい」によって様々な症状が出てきます。そしてこの「気」は食べ物や飲み物から摂取した「水穀の気」と呼吸によって取り込まれた「清気」が結合することで生成されます。

ちなみに気という字は昔は「氣」と書きました。この字に現されているようにかまどでお米を炊き上げた時に吹き出る「蒸気」を意味しています。

要はしっかりと栄養を摂って代謝して身体から湧き出るように出てくるのが「氣」なのです。西洋医学的な言葉で言うとエネルギーである「ATP」でしょうか。動物のエネルギー産生においてごはんなどの炭水化物が血糖(グルコース)に分解されてこれが解糖系と呼ばれる代謝によってATPが産生。これによって細胞が活動できるのです。

きちんと食事を摂っていますか?しっかり消化吸収はできていますか?過度なストレスで自律神経が乱れていませんか?呼吸が浅くなっていませんか?

なんとなく得体の知れない「気のせい」と言われる症状も「生活習慣」に原因があるのです。これをひとつひとつ見直していく事で必ず改善していきます。人間には自然に治していく力が備わっているのですから。毎日の積み重ねが何より大切です。

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