ましも先生の健康note

心が身体に及ぼす影響。ストレス性疾患の話。

一昨日も雨。昨夜から雨。今日なんか朝から大雨。

最近天気の悪い日が多くありません?季節の変わり目は気圧の変わり目。春だから仕方ない。とは言ってもこの鬱々とした状況でおうちにこもっている時間が長い上に気圧や湿度などの気候変動が激しいともう大変。実際に漢方相談を受けて調子が上向きになりかけていたのに色々な不調が出て不安になっている。という方が多くみられます。

実際に頭痛。めまい。耳鳴り。関節痛。イライラ。不安感。胃腸トラブルなどに代表される気象病は「1日10hPa以上の気圧差または10℃以上の気温差」で悪化すると言われています。これは気候変化が人間にとってストレスと捉えられるからなのです。

長年困っている症状を意を決して病院で相談。お医者さんに「ストレスから来ていますね。」と言われ、なんとなく分かったような。ぼんやりとしていて分からないような。モヤモヤしている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

じゃあ何でストレスで身体に変化が出るのだろうか?

今回はなかなか聞けないこのストレス問題を深掘りしてみたいと思います。

そもそもストレスとは何ぞや?ということは以前のnoteにまとめましたが、ストレスとは五感(味覚・視覚・嗅覚・触覚・聴覚)の興奮として脳に伝えられるものです。これがストレッサーになるかどうか?は扁桃体や海馬に貯蔵されている過去の記憶と照合して判断されます。

好きな刺激は「人生のスパイス」として作用。嫌な刺激は精神的にも身体的にもいわゆる「負のストレス」として作用するわけです。

ではストレスがどう身体に働きかけるのでしょうか?

これは自律神経のことを知るとよく分かります。

自律神経とは交感神経と副交感神経から成り立ちます。

【交感神経が身体に及ぼす影響】

①冠状動脈を拡張して心臓への血流を増加する。

②気道を広げて空気を取り込みやすくする。

③心拍数を増加して心臓からの血液拍出を増やして血圧上昇。

④血管を収縮させて傷ついても出血が起こりづらくする。

⑤消化管の運動を減少させる。

⑥アドレナリンの作用により顆粒球を増加し菌に対する免疫力を高める。また血糖値を高めて筋肉の活動を助ける。

要は外敵と闘争するための働きをもっており「がんばる」状態にするのが交感神経。

【副交感神経が身体に及ぼす影響】

①血管を広げて内臓への血流を多くする。

②消化液の分泌を高めて消化管の活動を活発にする。

③アセチルコリンの作用によりリンパ球が増加。ウイルスなどの小さな外敵に対する免疫力を高める。

副交感神経は体内の栄養補給や新陳代謝。神経活動をつかさどり「のんびり」する状態を保つものです。

この交感神経と副交感神経は一方が強くなるともう一方はお休みするというシーソーのようにバランスを取っている関係にあります。

一言で言うと私たち人間の中には「がんばる自分」と「のんびりする自分」が同居しているのです。

そしてこの「がんばる」と「のんびり」のバランスが崩れて、こころと身体に変化を及ぼしてしまうのがストレス性疾患の正体なのです。

ストレスが及ぼすこころの変化は『イライラ・怒り・不安感・気分の落ち込み・気がかり』など。一方身体に及ぼす変化は『心拍数増加・血圧上昇・発汗・筋緊張』など。

これが頭痛・めまい・肩こり・過呼吸・下痢・消化不良などの困った症状につながる仕組みなのです。

また中医学においてはストレスは五臓の中で「肝」に負担をかけるものとされています。この肝は「血を蔵する」「気血を滞りなく巡らせる」「筋肉の働きを良くする」「目の健康を守る」といった働きがあり、この働きが乱れることによって起こる証を以下にまとめてみます。

肝気鬱結(肝鬱気滞)→自律神経の過緊張・情緒不安定など。

肝鬱化火→自律神経の過緊張に伴って熱症状が現れる。頭痛・のぼせ・いらいら・怒り・顔面紅潮・目やに・口の苦味・口渇・胸焼け・難聴・不眠など。

肝気逆→肝気鬱結や肝鬱化火によって消化器の働きが乱れる症状。自律神経の過緊張・過度な亢進によって胃腸の蠕動運動が障害される。

肝気横逆→肝気鬱結が極まって意識喪失をきたすもの。四肢の冷え・歯を食いしばる・手を握りしめる・息が詰まるなど。激しい怒りや悲しみなどの精神的ショックが引き金になる。

肝火上炎→肝の陽気の過度な亢進によるもの。自律神経系の過度な亢進と中枢神経系の過度な興奮や炎症による症候。

このように中医学的な切り口からもストレスによってこころにも身体にも症状が出ることは説明されます。

ストレス性疾患に悩んでおられる方は得体のしれない体調への心配がさらにストレスになり悪化するという負のスパイラルに陥るパターンも多く見受けられます。

この目に見えないストレスというやつも実は人間に備わっている機能によるもの。自律神経や五臓の「肝」が身体を守るために働いているから起こっているとわかると少しだけ安心しませんか?

ちょっと安心できたならとても嬉しいです。ストレスなんか怖くない!

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