今年も花粉症の方にとってつらい季節がやってきました。東京都内のスギ花粉は去年よりも早いペースで2月下旬から3月下旬が飛散のピークとなる見通しとなっています。この先も気温が高く晴れた日にはスギ花粉が多く飛ぶ可能性があります。
そして。そこに被さるようにコロナウイルスによる市場からのマスクの枯渇。電車などの手すりやつり革を掴んだ手で目や鼻をこするとウイルス感染も起こしやすくなるという事もあり、まさに花粉症をお持ちの方にとって地獄のような春とも言えます。
そこで今回は花粉症を少しでも楽に乗り切るコツを書いていきたいと思います。
実は自分自身もスギ花粉だけでなくハウスダストによるアレルギー性鼻炎に悩まされていた時期がありました。忘れもしない多摩地方の山の中の高校に通っていた高校1年生の夏のことです。体育の授業が終わった後で急に鼻がムズムズしてくしゃみが連発。止まらなくなってしまったのがアレルギー性鼻炎との出会い。それからは布団の上げ下げでもくしゃみと鼻水が出るようになり本当につらい症状に悩んでいました。
抗ヒスタミン剤の内服や点鼻薬を使用して症状を抑えていましたが本当にスッキリしないし効き目の良い薬は眠気も来るしで大変でした。
この症状は20代前半まで続きましたが、漢方と健康相談の修行で福岡の先生のところで面倒を見ていただいた時に何を飲んでもつらかったこの症状が薬がなくても乗り切れるようになったのです。
ここでは「食事の摂り方」「水分の摂り方」「お風呂の入り方」を徹底的に直されました。生活習慣の徹底的な見直しがアレルギーを改善したのです。
そもそも花粉症は花粉がきっかけとなっているだけで発症するかどうか?はまた別の素因があります。
ここでアレルギーを起こす3つの素因を挙げます。
①体質
身体を花粉などの外敵から守るために働くのが「衛気」です。これは花粉だけでなくホコリや細菌そしてウイルスに対して防衛する力も発揮します。
衛気が不足している状態を「衛気虚」と言い、花粉症を引き起こす体質もこの状態が素地にあります。また花粉症以外にも風邪をひきやすい。疲れやすい。呼吸器系の異常を起こしやすい。汗が出やすい。季節の変わり目や気温変化に弱い。などの特徴もあります。寝不足など不規則な生活や疲れやストレスの蓄積が原因となります。
また最近では水はけの悪い体質も花粉症を悪化させる要因にあります。具体的には水分のガブ飲みにより絶対量が多い。またシャワーだけで済ませる入浴習慣や慢性的な運動不足により発汗量が低下していることがこの体質の原因になります。
またよく噛まないことによる胃腸の弱りや水分過多による消化不良が起こり、未消化のタンパク質が小腸から漏れ出る「リーキーガット症候群」により腸管免疫が乱れることも最近明らかになってきています。
②食べ物
食べ物の中でも特に深刻なのがカルシウムをはじめとしたミネラルの不足です。ミネラルは免疫のバランスを整えるのに必須で、特にカルシウムはアレルギーの予防に不可欠なものです。この日本は火山国のため土壌自体がミネラル不足。水もヨーロッパの鉱水に対してミネラル量の少ない軟水です。この水で育つ野菜も食肉も人間もカルシウムが不足するのは当然。
しかも糖分はただでさえ不足するカルシウムを消費してしまうことが分かっています。
その量は清涼飲料水500mlに角砂糖8個分の糖分が含まれており、角砂糖1個に対して牛乳7本分のカルシウムを失うという恐ろしいデータもあります。
食事のバランスは糖質:タンパク質:緑黄色野菜/根菜/海藻類=1:1:3が基本。毎回では難しいので1週間のトータルバランスで見直してみてください。
③花粉などのアレルゲン
スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギなど。季節によって変わる花粉。
イヌ・ネコなどのペット。カビやダニなどのハウスダスト。ガ・ゴキブリ・ユスリカなどの虫。
アレルゲンはアレルギー反応のひきがねとなります。マスクや空気清浄機。うがい手洗いや衣類をよくはたくなどの物理的な除去が必要です。
アレルギー性疾患は上記の①②③がすべて揃って発症します。
③のアレルゲンの除去には限界があります。①と②の原因をいかに改善するか?が楽に過ごすためのコツになります。
ここでアレルギーがおさまるまでの自分を振り返ると。
*ご飯がすすむ甘辛い味付けや揚げものなどこってりしたものが好き。
*栄養ドリンクやスポーツドリンクをよく飲む。
*自炊せず野菜が絶対的に不足している。
*お水はペットボトルでがぶ飲み。
*スナックや冷凍食品など添加物を多量に摂取。
*夜はビールを浴びるほど飲んで寝不足する。
*お風呂はシャワーでサッと済ます。
若さに任せてそんな生活を送っていました。振り返ってみるとアレルギーが起きても仕方ありません。
最後に花粉症を楽に乗り切るコツをまとめてみます。
①疲れやストレスを溜め込まないこと。特に寝不足は大敵です。夜はできるだけ早く休みましょう。夜遅くの飲食もできるだけ控えめに。
②水分の摂り方を丁寧に。水分はひと口ずつ口に含んでゆっくりと飲み込む。のどの渇きがおちついたら休憩です。味付けの濃いものに慣れている人は特にのどが渇きやすくなります。レモン水を凍らせたレモン氷を少し含むと渇きも落ち着きます。唾液の分泌も促されるのでオススメです。
③食べ物のバランスを見直して。特に糖分はカルシウムを失い炎症を起こす上に余ったものは水分になるため花粉症が悪化します。糖分の3倍は緑黄色野菜・根菜・海藻類などを摂るように意識してください。
④お風呂や運動でしっかり汗を出しましょう。水はけの良い体づくりが花粉症対策には不可欠です。入浴はシャワーだけでなく湯船で半身浴を。特に汗をかきにくい人は半身浴で発汗しようとしても1時間以上出ないこともザラです。最初は運動してから入浴するなど工夫しても良いかもしれません。
アレルギーなどの慢性疾患でも必ず日々の生活の中に原因があります。そして原因を取っていくと少しずつ調子の良い日が出てきます。少しずつ見直してみてください。花粉症の皆さまが少しでも快適に過ごせますように。