ましも先生の健康note

くり返す膀胱炎とサヨナラするには。

おしっこの終わりに痛っ!!また膀胱炎。病院に行って抗生物質飲んで水をたくさん飲んで。この繰り返しをされている方ってけっこういらっしゃいます。

急性の膀胱炎ではこれで正しいのですがこれを何回も繰り返している方は少し対処を見直した方が良いかもしれません。

今回は女性に多いお悩みである膀胱炎について書きたいと思います。

膀胱炎とは膀胱の粘膜に炎症が起こる病気で、ほとんどが細菌感染が原因と考えられています。体表の細菌が普段は無菌状態の膀胱内に入り込んで起こります。その80%が大腸菌です。一般的に排便時の拭き方や性行為などで尿道口が不潔になりやすい習慣があると起こりやすいと言われています。

この膀胱炎は女性の方が圧倒的に多くかかります。一体なぜなのか?

これはまず男性と女性の身体の構造の違いによるものが背景にあります。

膀胱とは貯水量センサー付きのゴム風船のようなもので、空っぽの膀胱は10〜15mmの厚みです。これが尿がいっぱいに溜まると伸びてわずか3mmにまで薄くなります。

女性の膀胱は子宮がそばにあるため容量が400mlと男性に比べてひとまわり小さくなっています。さらに尿道も男性の16〜20cmに比べて女性は約4cmとほぼ5分の1の短さとなっています。(尿意を催したら女性の方がひっ迫するのもうなずけますね。)

このように女性の方が男性に比べて

尿道の出口と肛門が近いために肛門周辺の細菌が尿道から侵入しやすい。

尿道が短く侵入した細菌が膀胱に達しやすい。

構造から見ても膀胱炎が起こりやすいのもうなずけます。

ただこの構造上のものだけが膀胱炎の原因だとすると最近のトイレが衛生的になっていることで改善されてきているのではないか?と考えられます。

和式のトイレがほとんどだった時代には拭き方が「後ろから前へ」。肛門付近の大腸菌が尿道口に移りやすかった背景がありますが、今では洋式トイレで洗浄機能も付いているものも普及しており清潔になってきています。

ではなぜ膀胱炎に悩む女性が減らないのでしょう?

ここで中医学においての膀胱炎の考え方をまとめてみます。

膀胱炎にも急性のものと慢性的なもので対応も変わってきます。

まず急性の膀胱炎膀胱に湿熱が停滞したことによりあらわれると考えられています。

症状としては排尿時の灼ける痛・切迫感・頻尿・残尿感・黄色く濁った尿・時に血尿・腰痛や下腹部の違和感も伴います。

排尿をがまんしたり水分が不足すると悪化するため、急性期に病院の先生から「どんどん水を飲んで。」と言われるのはこの事からかと考えられます

この急性のものをしっかり治せれば良いのですが、これが長引くと慢性化していきます。中医学の言葉で言うと陰虚が加わったり気虚が伴ったりします。

陰虚は女性を悩ませる血虚や津液が不足する事で進んでいき、身体の熱が冷ませないことで虚熱というものが発生します。実は生理前に膀胱炎が起こりやすいという女性もこの陰虚が絡んでいるようです。また逆に最近では慢性的なストレス睡眠不足、またスマホやパソコン作業などの目の酷使による血虚、そして陰虚を悪化させることも考えられます。

気虚は文字通り気が不足することで起こります。最大の特徴は疲れやすさ。それ以外にも顔色が青白い、冷える、尿が透明でうすい、生理がダラダラ続く、お腹を下しやすかったり風邪を引きやすくなったりします。また逆に冷たいものを摂りすぎたり疲れを溜め込みすぎても気虚が悪化します。

さらに中医学では「腎は膀胱に開竅する」と言われており膀胱の不調が腎に影響を及ぼすこともあります。膀胱炎を繰り返し起こすことで、外邪が更に身体に深く入り込み腎盂腎炎を起こす可能性もあるだけでなく腎の働きが低下することで生命エネルギーを失い老化しやすい体質になってしまいます。

以上のように慢性的な膀胱炎をお持ちの方は陰虚や気虚といった症状を伴っていたり、腎の働きを損なっていることが多くあります。その背景があって膀胱とその周辺の血流が低下したり免疫力が低下したりすることで炎症が長びくと考えられます。

以上のことを踏まえてつらい膀胱炎を治すために気をつけていただきたいことを以下に挙げます。

①水分は量よりも摂り方に注意。

急性の膀胱炎で「水をたくさん飲むと良い」と指導されることも多いですが慢性的に水分を摂り過ぎると身体を冷やしすぎることになります。「水分は喉が渇いたらひと口ずつゆっくりとていねいに飲む。」がぶ飲みしないように注意してください。また病院で出る頻尿の薬やアレルギーのお薬など口が渇きやすくなる薬もあります。そのような場合は特に意識してください。

②疲れを溜め込まないように。

日々の疲れの溜め込みは気虚を悪化させます。また五臓の働きも乱れてしまうため色々な不調が出やすくなります。特に疲れをドリンクなどで取ろうとすると余計に内臓の負担がかかり疲れが蓄積していきますので充分注意してください。

③寝る前のスマホは控えてしっかり休みましょう。

陰虚のおおもとである血虚は睡眠不足とスマホなどの目の使いすぎで悪化します。寝る前までブルーライトを浴びていると脳が覚醒されて眠りが浅くなります。質の良い深い睡眠をしっかり摂る事で質の良い血液が充電されて血虚も改善します。

以上の3点を気をつけてみてください。

たかが膀胱炎。されど膀胱炎。膀胱炎は老化の始まりです。

薬で抑えるだけでなく自分の生活を見直す事でしっかり治しましょう。

毎日の積み重ねが大切です。

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