ましも先生の健康note

長引くめまいは隠れ老化のサイン。

店頭で多い悩みのひとつにめまいがあります。以前から女性に多い症状ではありましたが最近は特に若い女性に多い気がします。これは単に「めまいの患者が増えている」というだけではなく若い女性の隠れ老化が根底に潜んでいるのではないでしょうか?今回はこのめまいについて書いてみたいと思います。

まずはめまいのタイプを以下に分類していきます。

回転性のめまい。視界がぐるぐると回って見えて吐き気を伴う場合もあります。症状は数分間で終えることもあれば数時間に及ぶこともあり起きられないという方も多くいらっしゃいます。

浮動性のめまい。身体がふわふわする。宙を浮いている感じ。足が地につかない感じ。と表現される方が多い症状です。回転性のめまいに比べて激しくはありませんが長引く人が多いようです。

①②を厳密に区分することは難しいですが、短時間のめまいの原因として多いのは「良性発作性頭位めまい症」で内耳で前後上下の動きを察知する耳石が剥がれて三半規管に入り込みリンパ液の流れを乱すために起こると言われています。また働き盛りに多い「メニエール病」のめまいは数時間に及ぶことも多く、耳鳴りや難聴を伴うこともあります。

立ちくらみ。立ち上がった時にめまいやふらつきが起こります。急に立ち上がる時に頭部への血液の供給が低下し一時的な貧血を起こすことが原因です。低血圧や疲労・睡眠不足などが絡んでいることが多いようです。

生理前になると起こるめまい。月経前症候群(PMS)の症状のひとつで女性ホルモンの変動により血管収縮や血液循環が乱れることで起こる。

⑤耳だれ・耳の詰まり・耳鳴りなどを伴う場合は慢性中耳炎が原因で起こるめまい。突発性難聴を伴う場合もあります。またウイルスが原因で起こる前庭神経炎に伴うものもありこのめまいは数日間に及ぶこともあります。

この他、激しい頭痛やしびれ・手足の麻痺・意識の障害などを伴うめまいは脳卒中などの恐れがありますので一刻も早く受診や救急車の手配などの対処が必要です。

さて上記にあげたようにめまいにも様々なタイプがありますが、ほとんどの場合は耳の奥にある三半規管が影響しています。そしてなかなか改善しないという人も多くいらっしゃいます。何故なのでしょうか?

この原因を突き止めるために大切な耳について構造と働きをまとめてみます。

耳は聴覚と平衡感覚をになう器官で外耳・中耳・内耳の3つから成り立ちます。

外耳は耳介→外耳道→鼓膜の部分で「音波=空気の振動」を耳介で集めて鼓膜を震わせる働きがあります。成人で外耳道は3.5cmあり鼓膜の奥にある中耳と内耳を守っています。耳を綿棒や耳掻きで掻きすぎて傷つけて外耳炎になり耳鼻科で叱られる方もちらほらといらっしゃいますね。耳垢は月に1度くらい外側に溜まった物を軽く拭き取るくらいで充分だとも言われています。

そして中耳は鼓膜から内側の空間で3つの耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)が鼓膜に伝わった音波を増幅させて内耳へと伝えます。この3つの骨の働きで鼓膜の振動がおよそ20倍にも増幅されます。またこの中耳の空間=鼓室は耳管を通じてのどや鼻につながっており、鼻詰まりによって耳の通りが悪くなったりすることもよくあります。

一番奥の内耳は頭蓋骨内に骨迷路と膜迷路という器官が入り込んだ複雑な構造をしており、それぞれがリンパ液で満たされています。三半規管もこの内耳に位置します。三半規管とは前転・後転する方向の回転を察知する「前半規管」。側転する方向の回転を察知する「後半器官」。水平方向の回転を察知する「外側半規管」。この3つから成り立ち、平衡感覚をつかさどっています。この三半規管の働きが乱れることによって起こるのがめまいです。

病院でも「血流が低下している。」とか「歳のせいだ。」といわれる事もよくあるようです。実際に院外処方せんで見るのがビタミン剤であったりATP製剤であったり、循環を改善するための処方が多いようです。しかしなかなか改善せずに長い期間にわたって続けている方も多くおられます。

中医学でめまいの原因に挙げられるのはストレスにより気の巡りが乱れてしまうことや気血水の不足によるものなどがありますが、この平衡感覚をつかさどる三半規管がリンパ液で満たされており、なおかつその流れや量の乱れによってめまいが起こる事を考えると身体の水分代謝が多く関わっているように思います。

五行説によると腎の弱りは耳に出ると言われています。腎は水分代謝をつかさどる臓器である事。また三半規管が内耳の一部である事を考えると想像がつきやすいです。

そして大切なのは腎が水分代謝だけでなく腎精といって生命エネルギーを蓄えている臓器だということ。

この腎が弱るということはめまいだけでなく生命エネルギーを損なう。つまり老化を進行させていることになります。

しかもこの症状が若い女性に増えているということは「隠れ老化」が増えているということに繋がっています。

この大切な腎がなぜ弱るのか?原因はいろいろありますが最も多いのが肝に負担をかけすぎることです。

以前のnoteに書きましたがのびのびとしたがる性質を持つ肝ストレスで大きく負担をかけられます。とても人当たりの良い気遣いのある人特にしなくても良い我慢を強いられるためこの肝を傷めて結果として腎も弱めていくことに繋がります。

また肝は血を蔵する働きを持っており睡眠不足・目の酷使など。特に女性は毎月の生理でこの肝に負担がかかっています。冒頭のめまいの分類に書いたように月経前症候群のひとつにもめまいが入っており、生理前になるとイライラしたり気持ちが落ちこんだり、眠気を感じたりする方は特に注意が必要です。

最後に水分の摂り方です。水分に関しては「1日○リットルは飲む」など量を決めて頑張って取り組まれる方も多いですがこれはちょっと違います。「水は喉が渇いたらひと口ずつゆっくりと唾液と混ぜながら飲む。」「喉の渇きが落ち着いたらやめる。」という飲み方を心がけるとちょうど良い水分量を摂取できます。

飲む量ではなく飲み方を注意することが大切です。

余分な水を抱えていると身体は重くなっていきどんどん冷えていきます。結果腎が弱まっていくというわけです。

構造の部分でも触れましたが耳の機能をつかさどる中耳や内耳は目や鼻や口などの外気にさらされている器官に比べて奥まった場所にまで入り込んでおり、それだけデリケートで守られている器官ともいえます。めまいなど耳の機能異常は体調の乱れを知らせてくれているサインです。いつまでも若々しく過ごすためにもしっかりと対処しておきましょう。

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